私は渡辺里香、47歳の専業主婦です。
夫の伊藤誠は55歳。精密機器メーカーの技術職で、全国の工場を巡回する仕事を続けています。一年の半分近くを出張で過ごし、帰宅しても残業が当たり前。会話は必要最低限。夫婦としての触れ合いは、すでに八年近く途絶えたままです。
子供たちは長女が26歳で隣県に嫁ぎ、長男は大学二年、次男は高校一年。いずれも夫の実家近くの学校に通い、週末はそちらで過ごすことが多くなりました。家の中は静かで、私は長い時間を一人で過ごしています。
若い頃はバレーボール部で全国大会に出場した経験があり、今もヨガと早朝のジョギングを欠かしません。周囲からは「年齢を感じさせない体つきだね」とよく言われます。胸は決して大きくありませんが、引き締まった腰と、鍛えられた脚線には自信がありました。その自信だけが、夫からほとんど顧みられなくなった私の、唯一の支えでした。
欲求は、いつからか抑えきれないものになっていました。
最初は、ほろ酔いの夫が寝室で深く眠りについた後、隣で静かに自分の体を慰めるだけでした。しかし、夜を重ねるうちに、私は夫の顔のすぐ上に膝をつくようになりました。彼の穏やかな寝息を感じながら、自分の最も敏感な部分を、ゆっくりと彼の額や鼻筋に擦りつける。熱が集まり、蜜が滴り落ち、彼の肌を濡らすたびに、背筋を粟立たせるような興奮が走りました。
声を殺して腰を動かすたびに、「もし今、目が覚めたら」という恐怖が、快楽を何倍にも増幅させます。私は自分の中に、眠る男の顔を独占したいという、奇妙で強い欲があることに気づいていました。
そんな折、夫の部下である中村拓也さんが、月に一度ほど我が家に泊まるようになりました。32歳。同い年の妻と小さな子供が二人います。奥さんが週末に実家へ帰る日、夫が「明かりのない家に帰るのも寂しいだろう」と誘うようになったのです。実際は、飲み相手が欲しかっただけだったのかもしれません。
拓也さんは、少し癖のある笑顔の、印象の良い男性でした。初めて会った夜から、彼は私を見て「意外と若く見えますね」「体のラインがきれいです」と、自然な口調で褒めてくれました。夫が「もうおばさんだろ」と冗談めかして言う言葉とは対照的で、嘘でも私の心に染みました。
私は、彼が来る夜は、少し胸元の開いた部屋着や、膝上までのスカートを選ぶようになりました。リビングで酒を酌み交わす二人の間で、わざと足を組み替え、太ももをチラリと見せる。彼の視線がそこに止まるのを感じるたびに、股の奥が熱く疼きました。
ある夜、夫が先に寝室へ上がり、拓也さんがソファでほろ酔いのまま眠っているのを確認した私は、たまらず全裸になりました。豆電球の薄い光の中で、彼の半開きの唇に自分の胸の先端をそっと近づけます。寝息が肌に触れた瞬間、全身が小さく震え、秘所から熱いものが溢れ出ました。
私は彼の顔の上に跨がり、両手で自分の尻を広げて、最も敏感な部分を、彼の鼻筋にゆっくりと押し当てました。「今、目が覚めたら、すべてが見えてしまう」——その想像だけで、腰が勝手に動き始めます。蜜が彼の頬を伝い、私は声を殺して何度も達しました。
それ以来、彼が泊まる夜は、同じ行為を繰り返すようになりました。いけないことだとわかっていても、止めることができませんでした。
そして、次男が高校の合宿に行き、長男も友人宅に泊まることになった、ある土曜日の夜。
夫は仕事の遅れで、拓也さんを連れて、夜遅くにほろ酔いの状態で帰宅しました。私は先に風呂に入り、大きめのタンクトップ一枚で髪を乾かしているところでした。玄関のドアを開けた瞬間、夫がよろめいて倒れ込み、拓也さんが支えてくれました。そのとき、彼の視線が、ブラをつけていない私の胸の膨らみに、はっきりと落ちました。
「……見えてましたか」
私の声が上ずると、彼は小さく笑って答えました。
「少し、はっきりと。でも……綺麗でしたよ。部長の奥さんの、あんな姿を見られるなんて」
顔が熱くなりました。夫をリビングのソファに横たえ、布団を敷いている間も、彼の視線が私の背中と腰に絡みついているのを感じていました。
深夜。体が火照って眠れず、私はベッドを抜け出しました。リビングの灯りを点けず、二人の寝息を確かめます。夫は穏やかに、拓也さんは少し浅い呼吸で眠っていました。
私は再び全裸になり、バイブレーターを手に、拓也さんの上に静かに跨がりました。おしっこをするような格好で、彼の顔のすぐ上に自分の熱い核を近づけ、ゆっくりと器具を奥まで入れて動かします。隣で夫が眠っているという事実が、背徳の興奮をさらに煽りました。
声を殺しながら、前後に腰を振り、時には彼の唇に自分の敏感な部分を押しつける。蜜が滴り、彼の顔を濡らし、私はいつも以上に長く、何度も痙攣しながら達しました。終わった後も、彼の顔に残った熱を指でなぞり、自分の中に残る疼きを確かめていました。
翌朝、夫から拓也さんが退社することを知らされました。奥さんの実家の家業を継ぐことになったそうです。家族の事情で、断れなかったとのことでした。
帰り際、夫がトイレに立ったすきを見て、拓也さんが静かに私に近づき、耳元で囁きました。
「昨夜の音、少し聞こえてました。奥さんが、僕の顔の上で……あんなに動いているのを、想像してしまって。興奮で眠れなかったです」
私は言葉を失い、顔を伏せました。
「でも、僕も部長を裏切りたくはないんです。だから、これ以上は言えません。ただ……最後に、奥さんの本当の姿を見せてもらえて、幸せでした」
その言葉に、私は救われたような、そして何か大切なものを失ったような気持ちになりました。
それ以来、私は顔の上での行為をやめました。
禁断の夜は、彼の退社とともに静かに幕を閉じたのです。
今でも、ふとした瞬間に、あの夜の熱と、眠る男の顔の感触が、体の奥で疼くことがあります。誰にも言えない、私だけの秘密として。

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