私は結衣、三十三歳の人妻です。結婚して九年。夫の健太と、小学校に通う二人の子供とともに、都内の静かな分譲マンションで暮らしています。夫の実家は栃木県の田園地帯にあり、毎年春には田植えの手伝いに家族で赴きます。秋になると、収穫したばかりの新米を受け取りに再び訪れるのが、私たちの習慣になっていました。
夫は酒を一滴も口にしません。一方の私は、日常では控えめでいても、実家での食事の席だけは別でした。親戚たちが囲む広い座敷で、新米の香りと一緒に酒が進む時間は、一年で最も心がほどける瞬間でした。気をつけているつもりでも、気がつけば杯が重なり、ほろ酔いの空気に身を委ねてしまうのです。
夫の兄・拓也は三十八歳。独身で、実家の農業を継いでいます。昔から親しい相手には、男女を問わず抱きつく癖がありました。ただの軽い抱擁で、誰もが「拓也らしい」と笑って流す程度のものです。私も毎年のように、その腕に軽く包まれ、冗談めかして応じていました。信頼しきっていたからこそ、何の警戒もしていませんでした。
ところが、その年の秋は違いました。
夕食が終わり、子供たちも夫も先に寝静まったあと、座敷に残ったのは私と拓也だけでした。いつものように彼が私に寄りかかり、腕を回してきたとき、私は「また始まった」と軽く受け流すつもりでいました。しかし、彼の腕はただの抱擁では終わりませんでした。私の体を引き寄せたまま、座敷の縁側から外へ、隣の作業小屋の方へと導いたのです。
「どうしたの、拓也さん」
酔った声で問いかけながらも、私の足は抵抗なく彼に従っていました。作業小屋の薄暗い中で、再び抱きつかれた瞬間、後ろに回した彼の手が腰に回り、ゆっくりと尻を撫で始めました。そして、硬く熱を帯びたものが、私の腿の内側に押しつけられてきたのです。
「……冗談はやめて」
そう言いながらも、私の声は平らで、体は彼から離れようとしませんでした。夫との夜とは違う、抑えきれない熱が、酒のせいだけではないことを、自分でもわかっていました。拓也の手がズボンの中に滑り込み、下着の上からではなく、直接肌に触れたとき、私の中で何かがはっきりと切り替わりました。
「濡れてる……」
低い声でそう告げられた瞬間、恥ずかしさと、隠しきれない期待が同時に胸を衝きました。私はいけない人妻でした。家族がすぐ近くで眠っているという状況を知りながら、体はすでに彼を受け入れようと準備を整えていたのです。
ズボンと下着を膝まで下ろされ、後ろ向きに立たされた私は、自然と腰を少し後ろへ突き出していました。熱いものが、ぬるりと滑るように私の奥へと入り込んできたとき、思わず息が詰まりました。夫のものとは違う硬さと大きさに、体が勝手に反応し、内側が締めつけられるように彼を包み込みます。
「結衣……」
名前を呼ばれながら、胸を強く揉まれ、後ろから激しく突き上げられました。短い時間だったはずなのに、私はすぐに絶頂へ達してしまいました。自分でも信じられない早さで、腰ががくがくと震え、甘い声が漏れます。拓也も限界が近いようで、「出していい?」と聞きました。
「だめ、抜いて……」
必死にそう答えると、彼は静かに体を離し、私の唇へと導きました。口の中に収めた感触は、夫のものより明らかに硬く、熱を帯びていました。最後まで責任を持って受け止め、二人は無言のまま身支度を整えました。
翌朝、私たちは何事もなかったかのように笑顔で別れました。しかし、別れ際の彼の目が、はっきりと「また」と語っていたのを、私は見逃しませんでした。私も同じように、心の奥でその言葉を受け取っていました。
それから連休に再び訪れたとき、私たちは毎晩のように逢瀬を重ねました。作業小屋の奥、物置の影、夜の田んぼのあぜ道。場所を変えては、激しく求め合いました。夫との穏やかで予測できる夜とは違う、抑えのきかない熱に、私は身を焦がされるようになっていきました。
夫は何も言いませんでした。もしかしたら、独身の兄を不憫に思っているのかもしれません。私は、そんなことを考える余裕さえなくなっていました。拓也の体が欲しい。ただそれだけが、はっきりと残っていたのです。
次に実家を訪れる日が、今からすでに待ち遠しくて仕方ありません。

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